KINDWARE

手袋

フォーマルウェアと手袋の関係

手袋を着用した正装白い手袋

フォーマルウェアにおいて、手袋は装いを完成させる重要なアイテムです。男女ともに共通して、手袋を着けることで「正装」となり、着けない状態はリラックスした場面を意味します。この習慣は中世にまで遡ります。かつては、素肌を人前にさらすのは無礼で恥ずかしいこととされており、帽子と手袋の着用が紳士のたしなみでした。ただし、知人に会って挨拶をする際には、敵意がないことを示すため、帽子を脱ぎ、手袋も外したのです。

手袋はウエストコート同様、体にぴったりとフィットしているほど上品とされてきました。19世紀初頭、「ダンディの王」と呼ばれたボー・ブランメルは、手袋の各部分を得意とする3人の職人に注文し、完璧な一双を仕立てたという逸話もあります。彼はその手袋越しに血管の脈打つ様子をうっとりと眺めたそうです。それほど、精密に仕立てられた手袋が理想とされたのです。

なお、手袋は「脱ぐ」というより「剥ぐ」と表現されます。端をつまみ、指の付け根まで引き下ろしてから軽く手を揉むと、自然に外れます。フォーマルな場では、特に白のキッドグローブが最も格式高く、オフホワイト、ベージュ、パールグレーなども用いられます。帽子を脱ぐ時には、手袋も一緒に外し、手に持つのが正式なマナーです。