ハンカチーフ
ポケットチーフから紐解く紳士の嗜み

チーフとフォーマルウェア
フォーマルウェアには、チーフが欠かせません。たとえ実際に使わなくても、胸ポケットに差すのが常識とされています。この胸ポケットに挿すチーフは、イギリスでは「ポケット・ハンカチーフ(pocket handkerchief)」、アメリカでは「ポケット・スクエア(pocket square)」と呼ばれます。ちなみに「ポケットチーフ」は和製英語です。
もともとこれは、紳士の身だしなみの象徴でした。手を洗ったあとに拭くためのハンカチを、取り出しやすく胸に挿しておく。実用性に基づいたスタイルが、現在の装飾的な挿し方の起源です。
19世紀の英国紳士たちは、上流階級は麻(リネン)、庶民は綿のハンカチを使っていました。その名残から、現代でもフォーマルな場にはホワイトリネンのハンカチがおすすめです。
なお、現在一般的な「四角いハンカチーフ」は、18世紀のフランスでルイ16世が形を統一したことに由来します。これは、王妃マリー・アントワネットが、自分だけ特別な形のハンカチを楽しみたかったからとも言われています。