KINDWARE

タキシードⅡ

タキシードの起源

タキシードを着た男性フォーマルウェアの詳細

アメリカには、セミ・フォーマルウェアとして「タキシード(Tuxedo)」と呼ばれる装いがあります。これはイギリスの「ディナージャケット」、フランスの「スモーキング」と対応するものです。タキシードはアメリカで「タックス(tux)」と略されることもあり、発音も「タクシード」に近いため、「税金(tax)」と混同されて冗談のネタになることもあります。日本で「タキシード」という呼び方になったのは、この英語の響きがもとになっています。

興味深いのは、アメリカの象徴「自由の女神」とタキシードが同じ1886年に誕生したこと。1986年にはニューヨークで「タキシード誕生100周年」が祝われました。

タキシードの名の由来は、現在も静かな高級住宅地として知られるニューヨーク州の「タクシード・パーク(Tuxedo Park)」からきています。この地名は、ネイティブ・アメリカンのアルゴンキン語「タクシット(狼の棲むところ)」に由来しています。

19世紀初頭、この地は猟場として知られ、富豪ピーター・ロリラードが約3,000エーカーの土地を購入し、狩猟小屋を建てました。1885年、その孫ピエール・ロリラードがこの地に屋敷を建て、「タクシード・クラブ」を創設。翌年の1886年10月10日、クラブ初の舞踏会が開催され、その際に会員たちが真紅のサテンの「短い上着」を着用したのが、タキシードの始まりとされています。

この上着は当時イギリスで流行していた「尾のないイブニングコート」、すなわち「テイルレス・イヴニング」と呼ばれ、のちに「タクシード・コート」として知られるようになります。

1894年の『ハーパーズ・マガジン』9月号にも「タクシード・コート」は紹介されており、すでにホワイトタイではなく、ブラックのクラヴァット(ネクタイ)を合わせていたと記録されています。